奇跡のシンフォニーのレビュー

原題「オーガスト・ラッシュ:八月の興奮」

出演:フレディ・ハイモア ケリー・ラッセル ジョナサン・リース=マイヤーズ テレンス・ハワード ロビン・ウィリアムズ

あらすじ
 両親を知らず施設で暮らすエヴァン(フレディ・ハイモア)は、音楽を通じて両親とつながっていると信じている11才の子供だ。児童福祉局の職員リチャード(テレンス・ハワード)は、施設を出て養子になることをエヴァンにすすめるが・・・。ある日、電線の奏でるメロディー導かれるように施設を抜け出したエヴァンは、トラックの荷台に載せられ、ニューヨークにたどり着く。そこは、かつてエヴァンの両親が出会った場所でもあった。
 初めて、都会に出たエヴァンは街からあふれるメロディーに陶酔して手を振りリズムを刻む。そうしているうち、大事な名刺を風に飛ばされたエヴァンは途方に暮れ、街をさまよう。その途中でギターを手にしストリートで唄を歌い小銭を稼ぐ黒人の少年と出会うことになるのだが・・・。

 音楽がきっかけで離ればなれになった親子三人が、それぞれの音楽を追求し、あるいは、一度捨てた音楽を取り戻していく姿が、感動的なメロディーとともに、瑞々しいタッチで、時に激しくそして、繊細に描き出されている。数々の困難を乗り越え、三人が一つのメロディーの下、出会う奇跡を目にした瞬間、見た人は感動をおぼえるだろう。
 
 エヴァンは父からも母からも音楽という才能を与えられ、楽器を手にした瞬間弾きこなし、譜面の書き方を見るだけで自ら音楽を紡ぎ出す。しかし、・・・ 描かれているのは、天才少年の才能ではなく。音楽を通じて再び出会うことが出来た奇跡であることを明文しておきたい。
 そう、三人は名乗り合う必要なく、音楽一つだけで互いが親子であることを理解できたのだから。
 
 今週は話題作の公開が多いが、この作品は是非とも見てほしい映画の一つだ。見終わってしばらく立つがいまだ、感動が冷めやらない。